「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書から見る労働環境の現状
2019年3月に行われた「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書がまとめられました。報告には労働環境の過酷さが如実に現れており、特に時間外労働時間数上限は厚生労働省が定める過労死ラインの2倍です。
医師は特殊性の強い職業であるため、働き方改革が容易に進む可能性は低く、実現までには長い期間が必要となる見通しです。
医師の働き方改革報告書がまとめられる
2019年3月28日に医師の過酷な労働環境を受けて行われた「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書がまとめられました。報告書では休日や時間外労働の調整、子どもを持つ女性が働きやすい環境づくりなどを含め、長時間労働が当然のようになっている労働環境を改善し、医者が継続的に質の高い医療を提供できるようにする必要があるとまとめられています。
医師の働き方の現状について
医師は他の職業と比較して圧倒的に労働時間が長い職業です。臨時で休日に労働しなければならない可能性、労働を延長しなければならない可能性がある特殊な職業であることも影響し、年間3,000時間以上の時間外労働を行っている方もいます。
「自殺、死をよく考える」と答えた医師は3.6%もおり、過労死の危険性もある過酷な労働環境をよく表しているデータです
医師の働き方改革のために必要な要素
医師の働き方改革には、次のような要素が必要であるとされています。
労働基準法に即した労働時間で休日を充実させ、健康を維持できるようにすること、1日6時間は睡眠時間を確保すること、長時間労働が行われている医療機関への支援、子どものいる女性が働きやすい環境にすることが具体的に言及されました。
医者は職務の緊急性が高いケースもあり、休日に職務を行わなければならない可能性もあります。職業の特殊性によって労働環境の整備が進んでいないのが現状ですが、養成に10年以上が必要だとされる医師の不足を解消することも、働き方改革のためのポイントだと考えられています
2024年4月までの働き方改革の目標
医療機関は2024年4月までに水準Aを目指すことが目標とされました。水準Aでは時間外労働の時間数上限が年間360時間まで、労働時間数の上限を休日労働を含めたものにすること、臨時で労働する必要がある場合にいくつかの条件を満たすことなどが定められています。全体的に、医者の労働時間を短くし、労働基準法に近い労働環境を提供するのが水準Aです。
特に時間外労働時間数が重点的な改善点となるようで、時間外労働時間数が年間1,860時間を超えた場合には、解消できるようにすることが最重要とされています
地域医療に携わる医師の残業上限は過労死ラインの2倍
地域医療確保暫定特例水準と呼ばれる地域医療に関わる医者の残業上限は、年間1,860時間と定められています。
しかし年間1,860時間という時間外労働の上限は、過労死をする可能性が高まるとされる年間960時間の約2倍です[2]。年間1,860時間の時間外労働を超過している医者は、全体の27%だと言われています。
過労死ラインの2倍もの時間外労働を含めて、医者という職業の労働環境は非常に厳しいもので、最も働き方改革の必要性が高い職業だと言えます。しかし働き方改革は未だ進まず、医者を取り巻く環境の厳しさは以前と変わらないままです。
医師の働き方改革には多くの改善が必要
医者のための働き方改革には様々な取り組みが行われる予定ですが、実際には医者や病院、地域の住民など、医者という職業を取り巻く環境全てに関する抜本的な改革が必要です。そのため、過酷な労働環境をすぐに改善することは難しい状況です。
2024年4月という期限を設けてはいますが、一般的な職業と同じラインに改善されるまでには長い期間を要すると考えられます。
過酷な労働環境が強いられるからこそ資産運用が重要
「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書の概要から、医者という職業の過酷さが露わになりました。時間外労働時間数上限は過労死ラインの2倍であり、実際に自殺を考える方もいるほどです。労働時間の短時間化や時間外労働時間数の縮小、医療機関への支援などが行われる予定ですが、実現には長い期間がかかると予想されます。
健康維持すら難しい環境で勤務している以上、働けなくなったときのことを考えて資産運用をしていくことが欠かせません。資産運用の方法は様々ですが、資産運用として人気の不動産投資は医者からも高い支持を得ています。