医師は、一般的なビジネスパーソンより、資金需要が高い職種といえます。クリニックを開業するにも、子供を医学部に進学させるにも、多額のお金が必要になるからです。もちろん、生活水準を維持するためにもお金が必要です。
そこで、医師に向いている投資を考えてみました。
おすすめ度1位は不動産投資
医師は、1)多忙である、2)金融知識が豊富でない、3)資金需要が高い、という特徴があります。
こうした観点から、さまざまな投資のおすすめ度を検討してみました。
1位:不動産投資(おすすめ度:★★★★★)
2位:貯蓄、国債(おすすめ度:★★★★)
3位:株式投資(おすすめ度:★★★)
4位:FX(おすすめ度:★)
それぞれの投資の性質と、おすすめ度の星の数の意味を紹介します。
なぜ不動産投資は、おすすめ度★★★★★なのか
不動産投資を、おすすめ度★★★★★にしたのは、次の2つの特徴が医師にぴったりであるためです。
- じっくり腰を据えて取り組める
●レバレッジ効果を期待できる
「10年」の視野で投資に取り組めるから
不動産投資は、医師が不動産を購入して、それを人や企業に貸して賃貸料を得る投資です。不動産の利用者は「年単位」や「10年単位」で借りてくれるので、投資家も同じタイムスパンで投資に取り組むことができます。
「落ち着いて投資できる」点が、不動産投資のメリットです。
レバレッジ効果があるから
レバレッジ効果の元の意味は「テコの原理」です。転じて、小さな予算で大きな投資効果が期待できる投資スタイルのことを、レバレッジ効果が高い投資といいます。
例えば、利回り4%の物件に1,000万円投資すると年間収入は40万円ですが、5,000万円投資すれば年間収入は200万円になります。
1,000万円の自己資金があれば、これを担保にして5,000万円を借り入れれば、5,000万円の投資ができます。
不動産投資では一般的に、投資対象の物件が高額になるほど、投資効果が高まります。そのため不動産投資は、レバレッジ効果が出しやすい投資と考えられています。
しかも医師は社会的な信用が高いので、銀行がお金を貸しやすいという特徴があります。医師のレバレッジ効果の高さは、不動産投資をしている一般的なビジネスパーソンからとても羨ましがられています。
なぜ貯蓄、国債は、おすすめ度★★★★なのか
貯蓄と国債のおすすめ度が不動産投資より低いのは、投資効果が著しく低いからです。
預金の金利は年0.001%や、高くても年0.01%です。個人向け国債でも年0.05%です。
年利0.05%では、1,000万円投資しても、年5,000円の収入にしかなりません。
そのため、貯蓄や国債への投資は、不動産投資と併せて行うことをおすすめします。
不動産投資をメーンに据え、不動産投資のリスク回避のために、分散投資のいちメニューとして貯蓄や国債を検討してみてはいかがでしょうか。
なぜ株式投資は、おすすめ度★★★なのか
株式投資は、医師へのおすすめ度で、貯蓄・国債の下、FXの上に置きました。
なぜなら、ハイリスクハイリターンの株式投資ですが、「やり方」によっては腰を据えた落ち着いた投資が可能になるからです。
株式投資には大きく、短期的な利益を狙った小型株投資と、長期的な利益を狙った大型株投資の2種類があります。
小型株とは、時価総額が低い銘柄のことで、つまり、それほど大きくない企業の株式のことです。小型株は小さな要因で株価が乱高下するので、短期的な利益を狙うことができます。しかしそれだけに「大損」するリスクが大きいといえます。
小型株は、一日中パソコンの前に座り、1日に何度も売り買いをするデイトレーダーに向いています。
逆の見方をすれば、株価を小まめにチェックする時間が取りづらい医師は、小型株投資は向いていません。
大型株はトヨタ自動車やパナソニックといった、メガ企業の株式のことです。大型株の値動きは、小型株ほど激しくないので、長期間保有するのに適しています。大型株は一般的に配当金が高いので、売買しなくても「割りのよい」投資になります。
医師におすすめする株式投資は、大型株投資です。
なぜFXは、おすすめ度★なのか
FXはリスクが大きいため、おすすめ度を最低の★(星ひとつ)にしました。
FXは為替の値動きを予測して投資をしますが、ご存知のとおり、為替の変動はとても急です。そのためFXは、デイトレーダーや「一攫千金」を狙う個人投資家には人気の投資商品です。
それで医師には向いていないと考えました。
ただ、FXが「危険な投資」というわけではありません。実績をあげている個人投資家も多数存在します。
医師にはじっくり取り組める不動産投資がおすすめ
投資をする目的は人それぞれで、投資スタイルは目的によって変わってきます。
医師の場合、大きな資金需要が生まれるのは、開業時や子供を医学部に入れるときなどでしょう。そうであれば、計画的に資産を増やしていくことができます。それには、じっくり取り組むことができる不動産投資が適しています。
もちろん、不動産投資も「投資」なので、リスクがあります。購入した不動産の借り手が見つからなかったり、賃料を値下げしなければならない事態が起きたりすることが、不動産投資のリスクになります。
しかしそのリスクは、株式投資やFXよりは低いといえます。
また、不動産投資なら、一度借り手が見つかればしばらくは「投資のことを考えなくてよい」状態になります。毎日、患者さんや治療について考えなければならない医師にとっては、投資のことを考えないでいられる時間は貴重なはずです。