医師として慌ただしく働いていると、老後くらいはゆっくり過ごしたいと思うことがあるはずです。仕事を辞める、あるいはセーブすると、現役時代に比べ収入は減ってしまいます。中には「どれくらいの貯えがあればよいのだろう」と考えている方がいることでしょう。このページでは、医師が用意しておきたい老後資金とお勧めの資産形成方法を紹介しています。将来設計の参考にしてみてはいかがでしょうか。
医師の老後に必要な費用はどれくらい?
医師に必要な老後資金は、人により異なります。働き方やライフスタイルに違いがあるからです。65歳以降も働き続けるのであれば、必要な老後資金は少なくなり、生活レベルが高く、引退後も維持したいのであれば、必要な老後資金は多くなります。ちなみに老後の支出と収入は以下の式で求められます。
老後の支出=生活費+一時的な支出+病気や介護の備え
老後の収入=国民年金・厚生年金+個人年金+個人資産
必要な老後資金は、これらの差といえるでしょう。仮に老後の支出が月々50万円であった場合、どれくらいの老後資金を用意しなければならないのでしょうか。勤務医と開業医に分けて考えます。
勤務医
基本的に勤務医は65歳で退職します。90歳まで生きると仮定した場合、老後の支出は1億5000万円(50万円×12カ月×25年)になります。対する老後の収入は、厚生年金が主です。支給額は標準報酬月額や加入期間で異なりますが、多くても年間300万円程度といわれています。よって老後の収入は7,500万円程度(300万円×25年)となります。老後の支出と老後の収入の差は7,500万円です。ここから退職金を引いた額が、勤務医に必要な老後資金と考えることができます。
開業医
定年がないため、開業医に必要な老後資金はより複雑です。勤務医と同じ条件で考えた場合、必要な老後資金は勤務医より多くなります。年金と退職金に違いがあるからです。開業医が加入する公的年金は国民年金(+国民年金基金)です。国民年金の支給額は満額で78万100円/年(平成31年4月時点)となっています。老後の支出が1億5,000万円と仮定した場合、老後の収入との差はおよそ1億3,000万円程度となります(国民年金基金に加入している場合はこれより減ります)。ここから小規模企業共済などで用意した退職金を引いた額が、開業医に必要な老後資金と考えられます。
教育費で貯金が難しい場合も
勤務医に必要な老後資金が5,000万円、開業医に必要な老後資金が1億円と仮定した場合、40歳から貯蓄をスタートすると月々の貯蓄額は、勤務医・約17万円、開業医・約33万円となります。問題ない額と思うかもしれませんが、家庭環境などによっては思うように貯蓄をできないことがあります。最も大きな妨げになるのが、老後資金・住宅資金とともに、人生の3大資金に挙げられる教育資金です。
文部科学省が発表している「平成28年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まで全て公立の場合の学習費総額は約520万円、全て私学の場合の学習費総額は約1,720万円です。大学(医学部・6年制)へ進学すると、国公立で約350万円、私学で約3,700万円程度がかかります。進学先によっては、さらに下宿費用・寄付金などもかかる可能性があります。
出典:文部科学省:平成28年度子供の学習費調査の結果について
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf
一般的に収入が多いといわれる医師であっても、十分な老後資金を用意することは大変といえるでしょう。
医師は退職金や年金に期待できない
勤務医の場合、月々の貯蓄額が少なくても退職金があるから大丈夫と考えるかもしれません。確かに退職金は頼りになりますが、医師は転職を繰り返す方が多いため、想定していたほどの退職金を受け取れないケースがあります。また厚生年金も、給与を1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までに当てはめた標準報酬月額、150万円を上限とする標準賞与額をもとに計算するため、収入が多くても期待する支給額に達しないことが多いとされています。開業医の場合は、退職金は自分で用意しなければならず、年金は国民年金(+国民年金基金)であるためさらに条件は悪くなります。老後資金を考える時は、退職金や年金に頼り過ぎないほうが良いでしょう。
老後に備えた資産形成として不動産投資がおすすめ
老後資金に不安を抱えている方は、不動産投資で資産形成を図ってみてはいかがでしょうか。不動産投資には以下のメリットがあります。
・忙しい医師でも始めやすい
物件さえ購入してしまえば、基本的な管理は管理会社に任せられます。忙しい医師であっても安心して資産を運用できます。
・開業場所を確保できる
不動産投資を始めることで、勤務医は仮の開業場所を確保できます。開業しない場合は、賃貸や売却で収入を得ることが可能です。将来の選択肢を増やせるため、医師にお勧めの資産形成方法といえます。
・もしものリスクに備えられる
開業医は、資産形成を図りながらもしものリスクに備えられるメリットがあります。ゆとりのある時に不動産投資を始めておけば、万が一の時も安心です。
年収が多い医師も資産形成を図り計画的に老後資金の準備を
医師に必要な老後資金は、働き方やライフスタイルで異なります。老後の生活費が50万円/月と仮定した場合、勤務医は「7,500万円-退職金」、開業医は「1億3,000万円-退職金(小規模企業共済など)」が必要になると考えられます。収入が多いので問題ないと考えるかもしれませんが、子どもを私学や医学部へ進学させると思うように貯蓄できません。老後資金に不安を感じる方は、忙しい医師でも始めやすい不動産投資を検討するなど、計画的に準備を進めましょう。